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第13回 橋本市民病院 医療安全管理室
「0レベル報告システム」について
平成23 年4 月に医療安全管理室が当院に設置されたことは、本ホームページ内医療安全情報の2015 年9 月号に掲載させていただきました。設置後6 年が経過し、その間医療安全文化を根付かせるために医療安全に関する委員会から全職員へ「日々発生しているインシデント・アクシデントを報告しよう」と働きかけを行いその結果報告数は、平成26 年度939 件・平成27 年度は1377 件・平成28 年度は1953 件にまで増加し、平成29 年度は10 月で2000 件を超えております。
それでは、書面による「0レベル報告システム」の導入に至った経緯についてお話します。
インシデント・アクシデント報告件数は、看護部を中心に右肩上がりで増加しましたが、職員の中からは「報告システム入力に時間がかかる」「報告システムが使いづらい」という声も多く聞かれました。そこで、医療安全管理対策委員会の下部組織であるセーフティマネージメント委員会で、『より報告しやすい体制作り』について検討を行った結果、2つの問題が見つかりました。まず1つ目は、当時、インシデントやアクシデントを報告したくても、システム報告の権限を持つ職員だけに限定されており、病院には多職種が勤務しているにもかかわらず、全職員共通の書式がないことに改めて気がつきました。
2つ目は、提出されたインシデント・アクシデント報告内容を見ると、医療者間で間違いに気がつき、未然に防がれた事例もありましたが、影響レベル1以上の事例が多くあり、なんとか影響レベル0の段階での気付きが増え、職員全体のリスク感性を養うことができないかと考えました。
この2つの問題に共通する対策が、書面による「0レベル報告書」の運用でした。
平成28 年度4 月からこの運用を開始し、院内全体の影響0レベル提出総数は、平成26 年度が159 件、27 年度が274 件、28 年度は743 件と飛躍的に増加しました。報告職種別では、これまで報告がなかった調理関係のスタッフ、警備や物品管理・中央材料室のスタッフなど多職種での報告がみられました。一方アクシデント報告件数は、平成27年度は全体の約31%でしたが、平成28年度は28%と少しではありますが減少が見られました。また、0レベル報告書を活用し転倒転落防止に取り組んでいる病棟では、微力ながら発生率が約1%減少しています。
今後、 0レベル報告システムの推進には、提出された報告書をどのようにいかすかなど課題も山積していますが、今後も患者の安全を守るため取り組んでいきたいと考えています。
橋本市民病院 医療安全管理者 恋中理恵
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